ついに金属を出力できる個人向け3Dプリンターが40万円台で登場

オーストラリアのベンチャー企業であるAurora Labs(オーロラ・ラボズ)が、クラウドファンディングのKickstarterで金属を出力できる低価格なSLS方式の3Dプリンターのプロジェクトを開始し、1週間ほどで目標額の約2倍に近付く資金を調達した。

これまで個人向け3Dプリンターといえばプラスチック素材の出力だった。既に金属を出力するタイプは存在したが、数千万円といった価格帯でとても手を出せる代物では無かったのだ。

Aurora Labsはこれを、個人でも手が届く約40~50万円代で提供するとしている。

ロケットエンジンのパーツサンプル

手が届かなかったSLS方式3Dプリンターが手頃な価格に

Aurora Labsが開発した金属を出力するSLS(選択式レーザー焼結)方式3Dプリンターは、金属の粉末を材料とし、レーザー照射による熱で金属の粉末を溶融して形状を形作るという仕組みだ。

この仕組みはCNC加工や自動溶接で採用されている技術の組み合わせだというが、これを社内で開発し、独自の新技術を加えたことで安価に3Dプリンターを製造できるようにしたという。

3Dプリンターとスタッフ

Aurora Labsのサイトで紹介されている出力サンプルを見ると、コインの表面の細かな模様まで再現できていることが分かる。

コインサンプル

また、今回開発されたプリンターは3タイプあり、「S1」と「S2」で出力できるオブジェクトの最大造形サイズは150×150×200mmで、これらの製品の違いは、一度に使用できる素材が「S1」が2種類までで、「S2」が3種類までとなっていることだ。

出力部分

また、「S2+」というタイプでは、最大造形サイズがを180×180×500mmで一度に扱える素材は3種類までとなっており、このタイプを利用すれば、ロケットエンジンのパーツなども作成できる。

様々な金属粉末素材を利用できるが、それ以外にもプラスチックやセラミックにも対応しており、品質も鋳造並に高いという。

金属を出力する3Dプリンターは普及するか

既に3Dプリンターは普及し始めているが、そのほとんどがFDM方式(熱溶解積層方式)であり、次がSLA方式(光造形方式)だ。しかもプラスチック素材がメインである。

ところがここにきてSLS方式の特許切れを迎えたことも有り、これまで高額だったSLS方式の3Dプリンターの価格競争が始まる可能性が出てきた。

Aurora Labsはその先陣を切った形になったが、今後金属の出力対応の3Dプリンターがどこまで普及するかは、この価格競争が起きるかどうかにかかっているかもしれない。

ただ、普及する為には他にも課題が残る。素材の金属粉末が樹脂に比べて高額であることだ。

もちろん高品質な金属の出力物を手に入れる事ができるのだから、ある程度は高額でも仕方ないが、まず樹脂でサンプルを出力してから金属版は鍛造や鋳造、切削、溶接といった従来の製造方法で作った方が高品質で安い、となると金属用3Dプリンターの出番はまだ先になるだろう。

しかし金属3Dプリンターでより安く、より速く高精度のパーツが作れるようになれば、これからは金属3Dプリンターが新たなベンチャーを支えるのかもしれない。

*画像出典:Affordable 3D Metal Printer – Aurora Labs | kickstarter

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