まるで「プレイする映画」な独特の没入感と緊迫感を味わえるゲーム「Detroit: Become Human」レビュー

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人間のように行動を観察し模倣する人工知能(AI)や、人体比率・骨格構造・関節可動域まで人間を模したヒューマノイドなど、テクノロジーの発展によってますます人間に近いロボットが誕生しようとしている現代にピッタリな、「AIやロボット産業が発展した近未来」を舞台としたPlayStation 4向けゲーム「Detroit: Become Human」が、2018年5月25日(金)に発売されました。ゲームのジャンルは「オープンシナリオ・アドベンチャー」で、プレイヤーが選んだ選択肢により、複数用意されたシナリオが複雑に分岐していく自由度の高いシナリオが特徴のアドベンチャーゲームです。発売直前にプレイする機会を得られたのですが、実写のようにリアルなビジュアルと自由度の高いシナリオにより、実際にプレイしているとまるで大作映画の中の主人公を操作しているかのような独特の没入感と緊迫感が体験できる圧巻の出来栄えに仕上がっていました。

Detroit: Become Human オフィシャルサイト | プレイステーション
https://www.jp.playstation.com/games/detroit-become-human/

Detroit: Become Humanがいかに「プレイする映画」っぽいかは以下のムービーを見ればわかります。複数登場する選択肢を瞬時の判断で選び、映画のように迫力のある追跡劇を繰り広げます。

まるで「プレイする映画」なゲーム「Detroit: Become Human」のアクションシーン – YouTube

・目次
◆Detroit: Become Humanとは?
◆まるで映画のように美麗なグラフィック
◆プレイヤーの意志が物語の行く末を決めるオープンシナリオ
◆操作&捜査について
◆まとめ

◆Detroit: Become Humanとは?
Detroit: Become Humanは今より少し先の未来、AIやロボット工学が発展した世界で、人間の姿をしたロボット「アンドロイド」の登場により大都市へと変貌した「2038年のデトロイト」が舞台です。

アンドロイドの登場により急激な発展を遂げた一方で、これまで人間が行ってきた仕事が軒並みアンドロイドに取って代わられることとなり、アメリカでは失業率が上昇し続けており問題となっています。そして、低所得者層を中心に反アンドロイド感情が高まっています。

人間に反抗できないアンドロイドに対し、精神的・肉体的な暴力を振るう過激な人々も。

実際の行動に移す訳ではない人々もいます。「アンドロイドを破棄せよ」と書かれたボード。

「人間の音楽!」「音楽は魂だ」といった具合に、機械と人間の違いを強調するような言葉が書かれたボードを置く人も。こんな感じでデトロイトの街の至るところで、人間がアンドロイドに対するどのような感情を抱いているのかを感じることができます。

そして、人々から不条理な迫害を受けるアンドロイドの中から、ただただ無言で虐げられるだけでなく、人間と同じように意志や感情を持ち人間に抗う「変異体」が現れ始めます。

Detroit: Become Humanは、異なる3体のアンドロイド視点で「2038年のデトロイト」を体験することができます。プレイヤーはモラルを問われるような難しい決断や、物語の結末に関わるような重大な選択に迫られながら、色んな角度から「ゲームの中のアンドロイドと人間の歪んだ関係」を見ることが可能。話が進むにつれて出てくる選択肢は選ぶのが困難なものへと変わっていき、どうすべきか頭を悩ませながら物語の深みにはまっていくこととなります。

自分の所有者であるトッドの娘・アリスを守るために変異体となるアンドロイドの「カーラ」

変異体となったアンドロイドが起こす事件を捜査するため、アンドロイドメーカーのサイバーライフからデトロイト警察に派遣された「コナー」

アンドロイドの権利獲得に向け変異体をまとめ、蜂起する「マーカス」

さらに、日本での発売を記念してリリースされたトレーラームービーを見れば、Detroit: Become Humanの世界観がより詳細に把握できます。

『Detroit: Become Human』 ジャパン・ローンチトレーラー – YouTube

◆まるで映画のように美麗なグラフィック
Detroit: Become Humanのウリのひとつが、美麗で実写のようにリアルな映像です。プレイヤーがキャラクターを動かすことができるゲームパートがハイクオリティなため、ムービーパートからいつ切り替わったのかわからないこともしばしばで、「いつの間にかキャラクターを動かしていた!」ということか頻発しました。ただ映像がきれいなだけでなく、「近未来の地球であってもおかしくない世界観」&「現実に近いキャラクターデザイン」が、実写のように美しい映像と非常にマッチしているのもポイント。

また、ゲーム画面上にほとんどインターフェースがないというのも特徴。画面上に表示されるのは必要最低限の情報のみで、プレイヤーが何かしらのアクションを起こせる場面以外は画面上に何も表示されません。そのため、映像への没入感が高く、自分がキャラクターを操作していることを忘れてしまいそうになるほどです。

もちろんゲームを進める上でプレイヤーが取るべき行動などは、画面上にしっかり指示され、いつでも確認できます。

以下のムービーはプレイヤーがコナーを操作して変異体を追いかけるシーンのもの。実際にコナーを操作し、アクションをこなしながら走り回るのですが、一瞬自分が操作していることを忘れてしまいそうになるくらい美麗で「なんだ、ただの映画のアクションシーンか」と見まがうほど。

まるで「プレイする映画」なゲーム「Detroit: Become Human」のアクションシーン – YouTube

他にもビルの屋上からダイブするシーンなど、美麗なグラフィックだからこそ伝わる大迫力のシーンが複数用意されています。

◆プレイヤーの意志が物語の行く末を決めるオープンシナリオ
映画やドラマを見ていて、キャラクターの行動や発言に対して「自分ならこうするのに!」と感じたことがある人もいるはず。Detroit: Become Humanではプレイヤーがキャラクターの下す決断を選ぶことができるため、まさに「自分ならこうするのに!」の通りに物語が進行します。これは複雑怪奇に用意されたオープンシナリオであるからこそ実現可能な点です。

また、表示される選択肢には大抵タイムリミットが設けられており、なかなかシビア。「えっどうしよう?」と考えているうちにタイムリミットが迫ることも多く、じっくりと考える間もないまま直感に従って選択肢を選ばなければいけません。また、タイムリミットが設けられているおかげで良い意味で時間がなく、選択肢を選ぶのに時間がかかって物語のテンポを損なうということがないのも良い点。なお、選択肢を選び損ねたとしても「沈黙」という行動を選んだこととなり、すべてが物語に影響します。

時にはモラルを問われるような選択に迫られることもあり、心がないはずのアンドロイドと一緒にプレイヤーも頭を悩ませることとなります。加えて、選択肢が必ずしもプレイヤーの想定通りの言動につながるとは限らないため、「こう動いてしまったか~」という驚きや、プレイヤーが思い描く通りに物語が進まないからこその驚きにも出会えます。

Detroit: Become Humanは全部で30以上のチャプターに物語が分かれています。各チャプターをクリアすると、チャプター内で登場した選択肢およびプレイヤーが取った行動により、物語がどのように変化したかを可視化した「フローチャート」なるものが表示されます。最初のチャプターに出てくる分岐はそれほど多くありませんが……

物語が終盤に差し掛かるにつれ分岐は複雑に広がっていくことになります。このフローチャートはカーラ・コナー・マーカスの3体ごとに別々のものが用意されており、終盤にはひとつのチャートで3体のアンドロイドを別々に操作する場面もあるため、かなり多岐にわたるストーリーが楽しめることが確認可能です。

さらに、メインメニューに戻ればクリアしたチャートの頭からプレイし直すこともできるので、「自分が選んだ選択肢はこうだったけど、もしもあそこで別の選択肢を選んでいたら……」の答えもすぐに確認できるのがグッド。なお、スクリーンショットやムービーを撮影しながらDetroit: Become Humanをプレイし、ストーリーを一通りクリアするのにかかった時間は約14時間ほどで、公式によるとすべての分岐をプレイするには最高で40時間ほどかかるとのことです。

◆操作&捜査について
Detroit: Become Humanのゲームモードにはシンプルな操作でストーリーを楽しむモードの「CASUAL」と、操作が複雑になり難易度も高くなる「EXPERIENCED」の2つが用意されています。GIGAZINE編集部ではレビュー時に「EXPERIENCED」を選びましたが、大抵の場合は以下のムービーのように移動シーンなどでタイミング良くボタンを押すくらいの操作で、「操作が複雑でついていけない」というようなことにはならないはずです。

まるで「プレイする映画」なゲーム「Detroit: Become Human」のアクションシーンその2 – YouTube

捜査官アンドロイドのコナーを操作する場合は、以下のように事件現場を分析して事件の真相を解き明かすプレイを行うことが可能。実際にコナーが事件現場を分析する様子をムービーで見ると以下のような感じ。

まるで「プレイする映画」なゲーム「Detroit: Become Human」の捜査シーン – YouTube

アクションゲームのようにキャラクターを細かく操作をしたいと思っている人は「もうちょっと複雑にいじりたい」と物足りなさを覚えるかもしれませんが、逆に「ゲームの複雑な操作が苦手」だとか「ゲームのストーリーが楽しめればOK」という人にはピッタリなゲームといえそうです。

◆まとめ
実写のように美麗なグラフィックと、プレイヤーの選択がそのまま物語に影響するオープンシナリオにより、Detroit: Become Humanはまるで「プレイする映画」のような仕上がりとなっています。それでいて映画よりもボリュームのある重厚なシナリオが用意されており、さらに「もしもあの時……」を簡単に再現するためのチャプター冒頭からのリスタート機能や、自分が選んだ決断を確認できるフローチャートも用意されているため、1本のゲームで多種多様な結末を楽しめるのがポイント。もちろん1度プレイするだけでも十分楽しめるだけのボリュームとなっていますが、複数のルートをプレイしてみることで、1度のプレイでは見えてこなかった各キャラクターの本音やまさかの結末、さらには世界観の深掘りが可能なため、「2038年のデトロイト」をより楽しみたいなら1度は複数回同じチャプターをプレイしてみるべきです。

なお、Detroit: Become HumanはAmazon.co.jpで通常版が6080円、通常版のAmazon限定特典付きが7452円、早期購入特典付きのPremium Editionが9450円、Premium EditionのAmazon限定特典付きが9612円となっています。

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